^2/22-17:06
外灯もまばらな夜道。つけてくる足音にふりかえると、
髪の長い、あきらかにこの世のものでは無いおんなと目が合ってしまった。

その瞬間。

おんなは、髪をふりみだして突進してきた。ぎゃあああ !
叫んだのはおれのほうだ。猛ダッシュでにげた。
ところがなんということだ、おんなはおそろしく足がはやい。追いつかれる!
しかしおれのはやさも並じゃないぜ。陸上で県大会に出たことだってあるんだからな。

みてろよ!と気合を入れてさらに加速する。どうだ ! しかしおんなは余裕で追い上げてくる。
クソッタレ !

登り坂にさしかかった。じつはおれは登りが大の苦手だ。あっさりと抜かれてしまった。
くやしい。抜きざま、おんなは「フッ」と口の端で笑った。なめんなよ!
しばらくおんなの後ろを走っていたが、峠のカーブで抜き返してやった。ざまあみろ。

休憩所があったので、ふたりで長机の水を飲んだ。おばちゃんがタオルをくれた。
つぎの休憩所は5kmさきだ。もう山はぬけて、気持ちのいい海沿いを走っている。
ようし、一気に距離をあけてやるぜ! 海から太陽が昇ってくる。すべてが黄金色に染まる。
波頭のひとつひとつがキラキラと照りかえす。なんてきれいなんだろう。

ふと気がついて後ろをふりかえると、おんなはもういなかった。
911T
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