俺の父ちゃんは昔母ちゃんを亡くし、俺と弟を一人でずっと育ててくれた。 そんな父ちゃんは陶芸職人ってやつで、いわゆる皿や湯のみなどを作る仕事をやっていて、その仕事が大好きでしかも腕前がかなりすごくて仕事場でもけっこう上のほうにいたらしい。 そんな父ちゃんが仕事をやめた。もうトシだからって理由でやめたらしい。 もったいないなぁ〜すごい腕前なのにぃって思ってたけど、仕方ないわって、父ちゃんは笑って言っていた。父ちゃんは子供思いで優しくてときには厳しくしてくれて、たっぷりと愛情を注いでくれた。俺はそんな父ちゃんが本当に大好きだった。 そんなある日、目覚めるといつもテレビをつけて朝食を作っている父ちゃんがいなかった。まだ寝てるんかなって思って父ちゃんの部屋に行くと青白い顔をして倒れていた。俺はかなりびっくりして急いで救急車を呼んだ。病院に搬送される前はまだ脈はあったらしいけど・・・だけどもう手遅れだった・・・・・・。 頭が真っ白になった。突然の死で涙も出なかった。 そして父ちゃんの葬式の日。まだ弟は父ちゃんの死をうけいれれずにいて、最後のお別れをするのを猛烈に反対していた。 『やだやだやだ!!!父ちゃんを燃やすなぁ!!あかん!!あかん!!燃やさんといて!!お願いやから燃やさんといてやぁ・・・・・・!!!』 弟は火の中に入れようとしているおじさんの足をつかんで泣き叫んでいた。 おじさんは泣きながらその言葉を無視して火の中にいれていた。 『燃やさんといてやぁあ!!おじちゃんのばか!!うわあああああん!!』 弟の泣き叫ぶ声が火葬場に響き渡る。 周りの人はみんな泣いていた。俺も止めることはできなかった・・・・・・。 そして、悲しみにまみれた葬式が終わったあと、おじさんがやってきて父ちゃんの話をしだした。俺は父ちゃんのことのすべてを聞いた。 トシが原因じゃなく俺らの世話に専念するために、ゆういつの生きがいの陶芸作りをやめたこと。 いっつもいつも俺らの自慢話をしていたこと。 死因は風邪が悪化した肺炎で、俺らに心配かけまいと苦しいのをずっと我慢していたということ。 それが原因で死んでしまったということ。 それを聞いたとき 悲しみ、悔しさ、父ちゃんの優しさで 涙があふれ出て止まらなかった・・・・・・・・・・・・・。父ちゃんは本当にいい人だった・・・。 そして、家に帰って父ちゃんの部屋の遺品整理をしていると一個のマグカップが出てきたんだ。 父ちゃんの手作りのようだ。それには弟の大好きなドラえもんとか、俺がやってるサッカーのサッカーボールなどが書かれていた。父ちゃん、俺らのためにがんばって手作りで作ってくれたんだなぁって、涙が止まらなかった。父ちゃんのマグカップは、さすが職人ということもあってとても上手で、そのうえ心もかなりこもっているということが手にとるだけで分かる感じがした。しばらくそれを握って泣いていると、マグカップの下面に何かが書いてあることに気づいた。そこにはこう書いてあった。 『お前ら!よく聞け!父ちゃんはお前らにいつだってついてるぞ!心配なんかいらん!父ちゃんの息子である限りお前らは何したって大丈夫!ときに悔しいことがあったって、父ちゃんがついてる!胸はって生きてけよ!お前らに幸あれ!!』 文章を 読み終えたとき 声を出して泣いていることに気づいた。 ありがとう。父ちゃん。俺本当に父ちゃんの子供でよかったよ。今でもマグカップは大切に使わしてもらってるよ。俺、本当に父ちゃんのこと大好きだった。世界一尊敬してたよ。これからも天国で見守っててね・・・。 今までお疲れさん。そして本当にありがとう。
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