うちのスパイク。陸上の短距離用のスパイク。 青色で格好いい。
お前はうちの陸上競技の全てを知ってる。 故障なんて全くしなかった。ずっとお前を履いて、お前と共に沢山のレースを走り抜いてきた。
みんなの前では明るく振る舞って、場を盛り上げてきた。でも本心は違った。いろんな責任やプレッシャー、重圧に押しつぶされそうだった。それをみんなの前に出すことはできなかった。出しちゃいけなかった。 1人で何回も泣いた。泣いた跡がわからないように、またみんなの前では笑顔。 そんなうちを知ってるスパイク。履く度に「今日も宜しく」って心の中で挨拶する。 そして陸上競技生活最後になるかものレース。 位置に着くとき、スパイクをみる。「頑張ろう」そう呟く。 でも目標は達成できなかった。これがラストランになった。 レース後スパイクを見てみると、沢山のキズがあった。厳しい練習に耐えた跡だった。 今までうちを支えてくれた。お前ともっと大きな大会で走りたかった。大きな大会の地面を踏ませてやりたかった。 ゴメンな‥。こんな持ち主で‥。 ほんまにありがとう。 お前と走れてよかった。ありがとう。
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