私には大好きな人がいます。その人は誰よりも何よりも優しい人でした。不器用な私に甘えること、泣くことを教えてくれました。いつでも彼は私の側にいて頭をなでてくれました。 私は少し欝のところがあって急に落ち込んで泣きだしたり、しゃべらなくなったりしてしまうこともありました。そんな私は友人や家族にさえ理解されずにおかしな子として扱われてきました。毎日が苦しくてわけもなく死ぬことを考えていました。 けど今私がこうして生きているのは全て彼のおかげです。彼は私の全部を愛してくれました。その愛は本当に深いもので、愛されることを知らなかった私にとってはありえないことでした。 『私にはこの人さえいればいい』そう考える毎日が続いていました。『高校を卒業したらずっと一緒にいたい』それが願いでした。 けどその願いが叶わないことは私も彼も分かっていました。 私と彼の歳の差は19歳。 それに彼はバツイチでした。堅い両親が私達の仲を認めてくれないことは分かっていました。 それでも私は彼のことが大好きで仕方ありませんでした。 二人の恋はどんな形であっても続いていくものだと思っていました。 そんなある日、彼は天国へと旅立ちました。 最後に彼が私に残してくれていたものがありました。
『誕生日おめでとう。 俺はずっとお前の側にいる。何も心配いらない。たとえ一緒になれなくても、俺はお前を幸せにするから』
そのメッセージカードと私にぴったりのリングがおいてありました。 私はリングを握りしめ嘘つきだと泣きました。 その日は1日中、彼のことを思い出し涙しました。 それからは私は強く生きようと決意しました。 誕生日を迎え、彼のリングをはめて私の新たな人生の一歩を踏み出したのです。 今も輝く彼の指輪。 私は一生彼と共に残された私の人生を歩んでいきます。
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