あれから、ちょうど一年経ったくらいだろうか…
その日は買い物のため、私は嫁と一緒に近くの大型ショッピングセンターに来ていた。
夫婦二人の生活とはいえ、まとめ買いをすれば案外荷物は多い。 私はよく荷物持ちを兼ねて、一緒に買い物に付き合うのだ。
取りあえず、まだ何も買わずに店内を歩いていると、不意に彼女が手を繋いできた。
私は照れ臭さもあって、軽く振りほどいた…
しばらくして、また彼女は手を繋いできた
また私は さっと振りほどいてしまった…
「なんで?」
彼女は不服そうに言った…
私のその時の理由は、 (いい歳をして、人前で手をつなぐことが恥ずかしい…)だった。
それから、その日彼女は ずっと不機嫌だった。
…一年ほど前の話しだ…
今、私の隣に嫁の姿はない…
少し前に、手の届かない所に行ってしまった。
今、もしまたあの日に戻れるなら…
戻ることが可能なら…
私の方から嫁の手を繋ぐだろう。
そして、おそらく彼女はにっこりと微笑んで、私の手を強く握り返してくれるに違いない。
私は彼女の手を絶対に離さない!
あなたの方が先に嫌がって離そうとするかもしれないが、
私はそれでも離さないだろう。
あなたがいなくなってから、私はずっと悔やんでたんだ…
だから私が満足するまで、私の手を離さないでいてくれ。
あなたがいなくなった日から、こうしたかったんだから…
ずっと、ずーっとしたかったんだから…
だから…
…夢でもいいから、一度でいいから、
私のところに会いにきてください…
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