ちょっとだけ甘酸っぱい話しなんだけど、俺は恋に落ちてたんだ。 あの子と出会ったのは小学生のとき。転校してきた女の子に一目惚れしたんだ。たまたま席が隣になって、俺は神様に初めて感謝したよ。 話しかけたのはその子からだった。 「名前なんていうの?」 「俺はマサ。そっちは?」 「私はゆり。よろしくね。」 「おん。」 初めて交した言葉はそんな会話だったかな。 それから授業に入り、休み時間になったらいっぱい話しをしようと思った。 チャイムが鳴り隣の席を見ると友梨はクラスメイトに囲まれていた。男からも女からも人気者になっていた。俺は何事もないようなフリして友達とグランドに遊びに行った。 小学4年の話だ。そんな毎日が過ぎて5年生になり、田舎だからクラス替えもなく6年生になった。 楽しみにしていた修学旅行だ。俺は新幹線とバスの隣の席が友梨である事を神様にお願いした。 が、小学生ながら世の中は甘くないと実感した。 友梨と話ができず、あまり楽しめずに帰りの新幹線に乗った。 最悪だった。俺の隣には誰もいない。小学生にとって隣の席に誰もいないのは結構な事だ。俺はルービックキュウブを鞄から取り出し修学旅行まぢいらんとか思いながら、ひたすらやっていた。「私にもやらせて。」そう言って俺の隣に誰かが座った。友梨だった。 俺は神様にお供えをしようと本気で思った。 2人で楽しく喋って心から幸せを感じれた。俺にとって最高の思い出になった。 それから友梨とは仲良くするようになり、お互いが自分の事を話すようになっていった。 それから中学生になり友梨とはクラスも別になったが、相変わらず休み時間には話しをしていた。 友達に付き合ってんの?ってよくチャカされたりしていた。 俺が行ってた中学校には体験学習ってのがあって、みんなで山小屋に泊まりに行くんだ。 山小屋で一番仲の良かった友達と一緒になり、夜いろんなことを語ったり俺は友梨の事が好きって事を友達に告げた。友達は俺の話しを真剣に聞いてくれて、俺は気持ちが安らいだ。 次の日にみんなの前で「マサは友梨ちゃんの事が大好きです。」って言われるとわ思いもしなかった。 友梨は顔を真っ赤に染めていて、もちろん俺も恥ずかしくて泣きそうだった。 友梨はマサの事どう思ってんの?って、女どもに聞かれていて、俺は友達に友梨ちゃんの事好きなんって聞かれて、俺は恥ずかしいのとムカツクのとでパニックになり、「あんなブス好きになるわけないぢゃん。」って言ってしまった。友梨は俺の言葉を聞いて、「最低。」それだけを俺に言って泣きながら走っていった。それから俺は友梨と話しをすることも無くなり俺は謝る事もできなかった。 俺は友梨の事は好きぢゃないと自分に言い聞かせる日々が続いて、中学2年の夏になった。隣のクラスの女の子に俺は付き合って欲しいと告白された。 めちゃ可愛い子だったし、友梨の事を忘れるいい機会だと思い、俺は美香と付き合う事にした。 しばらく美香と付き合っていくうちに俺は美香の純粋さに惚れていった。 そんな美香ともケンカばっかりするようになった。クリスマスに会う約束をして、デートしていた時もささいな事でまたケンカしてしまった。クリスマスっていうのが余計に怒りを覚えさせた。美香は気が強い子だったのでしばらく言い合いが続いたが、仲直りでき、いつもより長く美香を抱き締めた。そのときに俺は産まれて初めてのキスを挑んだ。美香も目をつぶってくれて、俺も目をつぶりながら美香とキスをした。 優しく甘い感じがした。っていうか、緊張ってレベルぢゃなかった。心臓が爆破するかと思った。 俺は目を恐る恐る開いた。雪が降り始めていた。美香は微笑んでいた。雪を見て喜んでる美香はとても綺麗だった。心に残るChristmasになった。 学校が始まり部活で疲れ果て一人で歩いて帰っていた誰かに話しかけられた。「よぉ!バカちん」懐かしい呼ばれ方だった。後ろを振り向くと少し恥ずかしそうにしている友梨がいた。 話しをするのどれぐらいぶりだろうか?少し戸惑いながら俺は喋った。 「久しぶりだな。」 「毎日会ってるぢゃん。」 「いや、喋るのが!」 「ハハハ。マサはおもしろいなぁ。ていうか美香ちゃんとうまくいってんの?」 「ああ。うまくいってるんぢゃないかな。」 「美香ちゃんとなんかした?チューとか。」 「したよ。」 「まぢで?私も好きな人とチューしてみたいわ。」 そんな話しを夜中までしていた。 それから友梨との気まずさは薄れていった。それに対して美香はヤキモチを妬き、またケンカが多くなっていき、ついに俺と美香は別れた。美香に私より友梨ちゃんの方が好きなんぢゃないの?って泣きながら言われたが、俺は何も言えなかった。 「ごめん、俺と別れてほしい。」 「いいよ。友梨ちゃんとうまくいってな。」美香は泣きながら笑ってそう言った。やっぱり美香は綺麗だった。 俺は中学3年になった。片親だった俺は母に迷惑をかける事が多く、母はストレスでずっと入院していて、俺は家に帰ると1人ぼっちだった。家に帰っても寂しいから夜遅くまで毎日遊んでいた。 って言っても、行く場所は決まっていた。友梨の家の前だ。友梨の親が眠ったころに行き、友梨からの電話を待つ。電話がかかってきたら今から行くって合図だった。友梨と喋って家に帰って寝て学校行って友梨と喋って、夜また友梨と喋って、そんな毎日だった。 ある日、俺は友梨に言われた。「もうすぐ受験だから夜に会うのやめよ?私、行きたい学校あるから勉強がんばりたいの。マサも勉強がんばって高校行かないとダメだよ。」 「そうだな。頑張って勉強しないとダメだな。友梨も行きたい学校頑張って合格しろよ。」 それから俺らは学校以外で会うことは無くなったが、学校では今までと変わりなく仲良くやっていた。 そして受験が終わった夜に友梨とあった。 絶対に落ちたって不安そうな顔で言ってた。 そんな表情が愛しくて仕方なかった。結果として友梨は合格していて、俺はすべり止めの学校に行くことになった。 高校生活が始まり、始めて友梨の制服姿をみて、また惚れ直してしまった。 高校生になってもちょくちょく友梨とは遊んでいた。 友梨はめちゃ可愛い子だ。話しに出てこなかったが、中学の頃、友梨はモテていて、高校でもかなりモテていたみたいだ。高校で彼氏ができたと聞いた。かなりの男前らしい。俺は凹んだ。 それからは、友梨と会ってもその男との話しばかりだった。 俺は自然と友梨に会わなくなっていった。 俺は家の事情がそんなんだから学校を辞めて、引っ越す事になった。誰かに引っ越す事を言うと自分が悲しくなるだけだからと、誰にも話さず俺の住んでた田舎から遠く離れた都会へ俺は引っ越した。 もちろん友梨にも話さずに。毎日、友達やら後輩やら先輩から電話がかかってきていた。 けど、友梨からは1度も電話わなかった。俺は友梨が幸せになってくれるなら、それでいい、それだけでいいと思った。 俺は都会で仕事を見つけ、毎日を充実させていたが何か切ない。 田舎から出てきた俺には都会の暮らしはやけに息苦しく疲れる。 そんな毎日が2年以上たった頃、久しぶりに田舎の友達から電話がかかってきたので、俺は電話にでた。 友達は俺が電話に出たことに驚いていた。 そっから色々話して元気でいることを伝えて電話を切った。何日かして、またそいつから電話がかかってきて、話していると電話越しに友梨の声が聴こえた。 話したい気持ちはあったがあえて話さないでおこうと思い、それには触れなかった。 が、そいつが俺と電話してるって事に友梨が気付いて強制的に電話を代わりやがった。何だかんだ言いながら2時間ぐらい電話して、っていうより「何で黙ってどっかに行ったん?」とか、「人の気持ち考えろ!」ってひたすら怒られ家帰ったらまた連絡するわって言って電話を切っていった。 30分ぐらいして友梨から電話がかかってきた。また怒られるんかと思って電話に出たら意外と普通だった。昔みたいに喋るのに時間は必要なかった。 あれから彼氏と別れて新しい彼氏ができたらしいが、その彼氏とは遠距離になり浮気され、そんな付き合いが嫌になり別れたって事を聞かされた。俺は怒りを覚えたが、俺には何も言う資格がないと思い、ただ友梨の話しを聴き続けた。 気付けば3時間もたっていた。また近いうちに田舎に帰るからデートしてなって約束して電話を切った。 次の日から毎日が楽しくて仕方なかった。そして、友梨と会う日が決まり、俺は田舎に帰った。 久しぶりに会った友梨は俺の想像以上に大人っぽく綺麗になっていた。 ずっと笑いながら友梨と話しをしていた。夢を見てるような感覚だった。 物凄いスピードで時間が過ぎ、友梨には門限があったので帰る事になった。友梨の家まで星をみながら歩き明日帰る事を告げた。次の日、友梨が見送りに来てくれた。バスに乗って綺麗になった友梨に見とれていた。俺は帰りのバスで涙をこらえるのが辛かった。 それからというもの、毎日友梨と電話をした。そんなある日俺は、友梨の事が好きだってことを伝えたくて電話をかけた。いつものように友梨が電話にでた。「どうしたぁ?」俺はすぐに伝えられなかったんだが、爆破しそうな胸を抑え、今まで好きだった事、一目惚れした事、誰よりも好きという事を伝えた。友梨はなかなか、信じてくれなかったが俺の話しかたで本気だと思ったみたいだ。 俺の話しを聴き終えて、友梨は泣きながら言った。 「何で今になっていうの?一緒にいた頃に何で言ってくれんかったん?私はもう人と付き合うのが怖い。」と、前の彼氏に傷つけられた話しをしてくれた。 「俺は、真剣に友梨がすきだ。中途半端な気持ちぢゃないし、お前が会いたいと想うときには必ずそばにいるから。」なんてクサイ事いった。友梨は考えさせてほしいと言い俺は答えを待つことにした。 友梨から返事がきた。 「私はあんたと出会えて本当に幸せだと思ってる。これから先、私なんかのことをあんたほど、好きになってくれる人はいないと思う。でもな、今は付き合えない。まだお互いガキやし、壁が多すぎると思う。お互い大人になったときにお互いに大切な人がいなかったら私を迎えに来てほしい。私を幸せにしてくれるのはあんただけだと思うから。」 「絶対迎えに行くから。約束するわ。」 そんな内容だった。 それから2年たつ。俺は20になっていた。無情にも俺は仕事中に倒れ病院に運ばれ、最悪な事に余命を医師に宣告された。1年もてばいいだろうと。俺は友達にその事を伝えた。みんな見舞いに来てくれた。友梨は来なかった。俺はあと半年をむかえ、友梨に電話した。「お前はひどいやつだな。人が余命宣告されてるのに、見舞いぐらいこいよ。」 「私が心配してないと思ってるの?あんたはバカか?私はあんたの事を信じてる。絶対に元気になって私を迎えに来てくれるって。あんたに会いたいよ。辛いよ。でも、私は会いに行かない。あんたが迎えにくるまでずっと待ってる。約束だから。元気になってまた私を笑わせてよ。元気なあんたのそばにいさせて。だから余命がとか言うな!あんたは生きないとダメ」 友梨は泣きながらそう言った。俺は涙が止まらなかった。生きたい。元気になりたい。友梨を幸せにしたい。 そう願い続けて余命を宣告されてから4年がたった。担当の医師が信じられないと今でも病院に行くと言っている。 俺の病気はほぼ治って、今は仕事も順調だ。 もちろん、俺のそばに友梨の笑顔はいつもある。 「ありがと友梨。今の俺があるのはお前のおかげだよ。お前が俺に生きろって言ってくれたからだよな。これからずっと2人で生きて行こうな!子供は何人?幸せな家族きずこうぜ!」 俺は少しだけ甘酸っぱい奇跡に救われたんだ。
生きるって事、生きたいって気持ち、人生を楽しむ事、歯を悔いしばって頑張る事、奇跡を信じる事、そして何より、大切な人を守りたいと思う気持ち、今より少し考えるだけで、あなたの人生もよい方へ変わるのではないでしょうか? 私は、これらに気付けた事によって幸せになれました。
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