400万人が待ってるよ♪

今から3年前、自分の兄ちゃんは高校受験の事でいつもお母さんとケンカしていた。
その度に怒って家を飛び出てしばらくして帰ってきた。
そんな一件が過ぎた頃、兄ちゃんが野良ネコがいるから見に行こうよと言い出し自分とお母さんと3人で家の近くの公民館に行った。
すると一人淋しそうに座ってる野良ネコがいた。
兄ちゃんはいつも家を飛び出した時このネコの所に来ていたとその時話していた。
そして何気ない話しだけどここからこのネコと家族になって幸せな時間が始まるなんて思ってなかった。

野良ネコとかを放っておけないお母さんはひそかに近くのスーパーに行ってネコの缶詰を買って毎晩あげに行くのが日課になっていた。
そしてネコとの待ち合わせが公民館になっていた。
たまにご飯持って行ったらいない時もあって、口笛を吹いたらどこからか可愛い声して走って来た。
そして毎晩ご飯の合図は口笛になっていた。
必ず口笛の合図で雨の日もどこからか走って来た。

雨の中一人ぼっちでかわいそうになってご飯の時だけ横に座っていてあげた。
ネコがご飯食べ終わったから帰ろうとしたら淋しそうに泣きはじめて膝の中に入ってきて丸くなって寝てしまった。

なんかもっとかわいそうになっちゃってずっと一緒にいてやる事もたびたびあった。

そんなこんなで数カ月経ち見捨てる訳にもいかず、家の庭に連れて来てやった。最初は落ち着かない様子だったけど、段ボールで家を作ってやって玄関先に置いておいたら次の朝しっかり入ってんの。

それから家に住みついちゃって離れないの。
真冬の寒い日に買い物から帰って来たら、段ボールから出てきてなんかドアの前に待機してんの。
それで玄関開けたら一番乗りで台所のストーブの前で丸くなって寝てるの。
いつの間にか覚えたんだろうね。

朝お母さんが仕事に行く時にはちゃんと段ボールの前に出てきて見送りを毎日してるの。
夕方お母さんが仕事から帰って来るとちゃんと車の運転席のところまで迎えに毎日来てくれるの。
可愛いくて仕方なかった。
暑い真夏には庭に寝っころがって一緒に寝た事もあった。
いつも離れず一緒にいてくれた。
右に曲がると右に着いてくるし、左に曲がると左に着いてくるような珍しいくらい不思議なネコだったな。
けどそんな日々も終わりが近づいていたんだ。

段々家から出て来なくなってご飯もまったく食べなくなってきて様子が変だから家から出してみたらあんなに丸かった体が骨と皮だけの体に変わり果てていた。
すぐ病院に連れて行ったんだけど、もうきついかもって事だった。
重い糖尿と白血病だった。
お別れの時が近づいているのが分かった。

とにかく水だけは絶やさなかった。

いつも一緒にいてあげた。
弱ってるはずなのにずっと後を着いてきた。

残りの時間を無駄にしないようにネコは最後までそばにいたかったのかな。

そんなある日、トイレに行きたいかもしれないと思って外に出した。

それが最後になった。

その晩、帰りが遅いので捜しに出た。

すぐ前の道路で一人ぼっちで雨に打たれ冷たい道路の上で横たわっていた。

きっと一人で雨の中耐えて迎えを待っていたのかな。
必死で呼んでたのかな。

そして旅立っていった。

2006年の1月だった。

どんな気持ちで旅立ったのかな。

これ以上は迷惑はかけまいとネコなりに思ったのかな。

思い出だけおいていってしまった。

せめての思いで庭に寝かしてやった。

ありがとうを何回言っても足りないほど沢山の笑顔と幸せをくれたネコ。

涙がとまらない。

本当にありがとう。

出逢えてよかった。


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