俺は受験生だった、もともと、大学に行く金はうちにはなかった。けれど、奨学金をもらい、自分の金でいくのであればとの条件で親父から許しをもらった。 うちは暴力が激しく、自分の為にしか金を使わない親父の権力が絶対であり、かあちゃんや、俺の意見なんかはほとんど聞き入れてもらえない、親父の独裁的な家庭だった、そんな中でボコされる覚悟で頼んだ県外の大学受験を許してもらえた事は、二度とない奇跡であり、俺は必死で勉強した。
…しかしあろうことか俺は受験に失敗してしまった。その事を親父に告げた瞬間、俺は案の定ボコボコに殴られ。
「大学さえ行かせてやれば、就職して、俺ば楽させてくれると思って受験させてやったのに、ホント使えんやつやな…もう二度と夢みんなよ」
そんな事だろうとは思ってはいた…けど、それでもいいから俺は大学に行きたかった…。
その日、俺は大学に行けず、親父から離れられない人生が決定したことに、ショックで眠れないでいた。 その夜、かあちゃんが、親父の寝たのを確認し、 俺の所にきて
「○○○、あんた大学行きたかとやろ??」 俺は、 「俺……大学行きたか……けど…もう俺どうすればいいかわからんとよ……」悔しさで涙が止まらなかった。
「あんた!これで、一人で出ていきなさい!」 俺はかあちゃんから封筒を渡された。
「あんたはあんたのやりたか事やりなさい、これはかあちゃんがあんたにやってやれる最後の事やけん、あんたは、もうこの家に帰ってこれんようになるけど、かあちゃんあんたがどこに行っても忘れんけん、立派に顔向けできるようになったら帰ってきなさい。」
「……わかった……かあちゃん……ありがと………」もう俺は涙と鼻水でうまく言えてなかった。
その夜俺は家を出た、封筒の中には10万入ってた。 この金は、ほとんどが生活費に消える深夜のパチ家の清掃のバイトでもらうわずかな給料をちょっとずつ貯金してたものだったのだろう。
いつも同じ服着て、遊びに行く暇も趣味も持てずに、くっさい便所掃除して自分のために金を貯金していたかあちゃんの事を考えると泣けてきた。
受験するにはちょっとたりないけど、それでも俺には十分過ぎる金だった
その後俺はバイトしながら勉強し、いきたかった大学に合格することができた。
かあちゃん、ありがとう大学楽しいよ!
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