秋、2年付き合った彼氏との仲がだんだん悪くなり始めていた。 冬、2つ年上の男友達と久々にバッタリ会って、その時に友達と一緒に居たのが彼だった。 年は私の1つ上。
静かに、穏やかに話す彼の口調に何だか私は癒されていきなり涙をこぼしてしまった。 初対面なのに変な女だと思われる。 必死に止めようとしたけど涙は止まらなかった。
慌てて何度も「どうした?」と聞く友達の問いにも答えられなかった。 彼はただ静かに、 「疲れてるの?」と聞いた。
私は首を横に振って、笑って必死にごまかした。 しばらくしてあの時の男友達から電話があった。 あいつが心配していたと。
私は彼の電話番号を教えてもらい、私が電話する事を伝えてもらった。 突然迷惑かなと思いながらも、お礼とお詫びを言いたかったんだ。 彼はとても優しく、私はまた泣けてきて、今付き合っている人と上手く行ってない事を話した。 浮気されて、もう一度信じると決めたけど、私は彼氏を信じる事が出来ず罵倒ばかりしてしまうと。 彼は最後まで静かに聞いてくれて、別れるべきだと言った。 「出来ない。好きなんだ。」そう言う私にもう一度、別れるべきだと言った。 悔しくなって、何も言わず電話を切った。 彼はかけ直してこなかった。
春、また彼氏の浮気が発覚した。 「ああ、あの時に別れるべきだったんだ」 辛くはなかった。 ただ悔しくて泣いた。 そして別れた。 私に正しいアドバイスをしてくれた人が居たのに。 私が子供過ぎたんだ。 よく解らない嬉しさと、確かな恥ずかしさが込みあげた。でも心は空っぽ。 例えようのない不安や寂しさを紛らすために、私は色んな男と寝た。
夏、偶然彼と街で会った。 彼の声は、変わらず静かで穏やかで優しくて。 私はあの時の事を全て話し、ごめんとありがとうを繰り返した。 それからよく連絡を取るようになり、お互いに毎日メールや電話をした。 ある日彼は私を呼び出し、好きだと言ってくれた。
「俺の彼女になって下さい。俺はお前を泣かせたりはしないから」
もちろん私も好きだった。すごく好きだった。 今すぐにだってキスして欲しかった。
でも私は彼の気持ちを受け入れなかった。 愛のないsexを繰り返した私の体。 彼の細い腕や綺麗な指先を汚したくなかったんだ。
話せばきっと、この人は解ってくれる。それでも私を好きだと言ってくれる。 そんな気がした。
でもどうしても 彼を傷つけたくはなかったんだ。 私が告白を断った事で、すでに彼を傷つけてしまっていたなんて、その時は気付けなかった。 やっぱり私は自分勝手だ。また悔しさと恥ずかしさが込み上げた。
2年経つ今もまだ後悔している。まだ彼を好きでいる。 こんなに人を好きになったのは、きっと初めてなんだ。 今までに無かった感覚が胸の中にずっとある。 それは時々 怖さや感動に変わる。 でも寂しくて私は他の男に抱かれてる。 ほんとに馬鹿だね。 こんなんじゃ誰からも愛されない。 煙草を吸う時間が増えました。いつも煙に彼の顔を浮かべてる。
まだ間に合うのかな。 間に合うのかな。 でも彼が今幸せなら そのままずっと幸せであって欲しいんだ。
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