親父が死んだ。
自殺だった。
最初に見つけたのは、 親父と二人で暮らしてた妹だった。
俺は、 体を壊し目が見えなくなった親父の世話が嫌で、実家を出て暮らしていた。
葬式は密葬で行った、それが親父の望みだった、枕元にあったカセットテープに録音してあった遺言。 目が見えないから。
密葬だったが、親父の兄弟は集まった、離婚してた母が連絡したのだろう。
火葬場で最後に息子としての挨拶もなく、涙すらながさず。 伯父や伯母は、親父を置いて家を出ていってた俺をよくは思ってないらしい。
親父も俺を親不孝な息子だと思っているのかな、 実家を出る夜、食事しながら、 「がんばれ」って、俺の背中を思いっきり叩いた親父。 中学の時に酒の味を教えてくれた親父。 仕事に妥協はないと、疲れた背中で教えてくれた親父。 別れても母が大好きで、母さんの話を、いつも話していた親父。
ありがとう。 親父。 最後にあんたと一緒に飲んだ酒の味は一生忘れません ありがとう。
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