『好きだよ』 『まじ好き!』 『愛してる』 1つ年下のその女はいつもこんなことを言っていた。 俺はそんな彼女の気持ちが重すぎて、苦手だった。 付き合っているわけじゃない。ただ一緒にいる時間が長いだけ
ある日、彼女はこう言った 『私のこと、どう思ってるの?』 迷わず俺はこたえた 『何とも〜(笑)』 彼女は笑いながら 『何それ〜最低』 そう言うと無言になった
その日から1週間がたつ。 いつもは途絶えることなくメールしていたのに、連絡すら来ない。 さすがに心配になって電話をしてみることにした。 『トルゥルゥルゥ………ガチャ』 『あ!もしもし?元気……』 『ただ今、電話に出ることができません……』 何だ………留守電か いつもうるさくて、一緒にいたらイラっとくることも多かったけど、それが無くなった時、無性に寂しく感じた。
『俺………あいつのこと………好きなのか?』
その時は、まだ疑問だった俺の心
次の日、仕事が休みなので、友達と一緒に買い物に出かけることになった。 楽しく友達と街を歩いていた。 『何それ〜ハハハ』 確かに聞き覚えのある、懐かしい声……… 紛れもなく彼女だった。 幸せそうに笑う彼女の隣には、見覚えのない姿。 俺は頭がパニックになり、彼女の名前を叫んだ。 彼女はこっちに気付き、1人で歩いてきて、こう言った 『幼なじみなんだ』 強がる俺 『へ〜、いい男じゃん』 この時、疑問が確信になった。 俺はこいつが好きなんだ………と 『あのさ………俺……お前のこと……』 言葉を急かすように彼女の口が開く 『今更それは反則だよ。……もう………遅いよ………』 また強がってしまう俺 『何言ってんの?俺、お前が幸せになってくれるの、心から願ってるって言おうとしたのによ!』 ………何言ってんだ………俺 彼女はため息をつき、苦笑いしながら言った 『そっか。ごめんね。先走っちゃった。ありがとう!お互い、幸せになろうね!じゃあ………私そろそろ行くね』
引き止める勇気なんてない 彼女の去っていく後ろ姿を見て、自分の愚かさに嘆き苦しんだ。 その時、頬を伝った涙を今でも忘れられない。 愛してる気持ちに気付かないまま…… 失ったものの大きさに気付かされてしまった。 いつか………この胸の痛みが消える時がくるのだろうか
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