400万人が待ってるよ♪

私、卑屈な人って大嫌い!
僕が当時好きだった子からいわれた言葉である。ちょうど今から3年前、弓道部に所属していた僕は県大会予選を戦っていた。5人チームの団体戦、毎年のように予選落ちの僕たちはその年、下位であったが決勝トーナメントへ駒を進めた。組み合わせ抽選会、初戦から優勝候補のチームとあたることが決まった。
 僕は、当時のチームメイトにこう言った。「ここまで・・・かな、勝てるわけがない。」すると彼はこう言い返した。
 「まだ負けたとはきまってないだろ?やってみなきゃわからん!」と。
 試合開始、僕の矢はいつものように・・・的の横や下へ。あたらない。それでも他の選手が僕をカバーしてくれたこともあり前半戦、2本差をつけて折り返した。しかし、後半、相手チームは安定した的中をし、2本差のリードはいつしか追う展開になっていた。一人1本で残り5本、前から○が続いてくる、その時、彼女と彼の言葉が脳裏をよぎった。落ち着こう・・・、後ろには彼がついていてくれる。甲高い音とともに、放たれた矢は一直
線に的のど真ん中に吸い込まれる。そして続く彼も。最後の1本で相手チームに追いついた。誰がこんな試合を予想していただろうか。緊迫した試合は延長戦へ。数少ない僕たちへの声援が耳に入る、いつものように前から的中が続いてくる、そしていつものように僕の矢は・・・、的にあたる乾いた音とともに電光掲示板は○を表示する。それでも決着はつかず再延長戦へ。
 みんなが中ててくれる。僕もその流れに乗る、磁石のように的に吸い寄せられた矢はきれいに的に入る・・・。試合終了、僕たちは・・・勝ったの?電光掲示板を見上げた、それは確かに○を表示している。大歓声の中、退場するときに、もう一度見上げた。しかし、あふれ出る涙でみることは出来なかった。旋律の整った木目の床に涙がこぼれ落ちる。もしもあの時少しでもあきらめていたら負けていただろう。あきらめなくて本当によかった、本当に。それはまぎれもなくあの言葉のおかげだっただろう。そしてその年、たった5人しかいない小さなチームは快進撃を続け準決勝まで勝ち進んだ。それは今日のようなやわらかな夏風が吹いた、そんな日だった。


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