400万人が待ってるよ♪

「絶対はなれへんからね!!」
「ずっと一緒にいてや。」
デートも終わり彼女の家に送る車の中で僕の顔を覗き込むようにして、彼女は必ずこういった。
彼女は、女子大生で僕は社会人一年生。
もう2年も付き合っているのに今日も最後は決まり文句。
僕が先に社会人になったから会える時間も少なくなって、それが彼女にとってはさみしかったのかも。

ある日、いつものようにポケベルが鳴り出した。
(今日も会社近くの駅まで迎えに来たのか。)
彼女は今までも前触れなく仕事の終わる時間にあわせて時折、会社近くの駅からメッセージを送ってきては僕を喜ばせてくれました。
しかし、その日はいつもと違ったメッセージが入ってきたんです。
そこには数字が並んでいただけで何が書いているのか一瞬わかりませんでした。
次の瞬間、彼女の家の電話番号であることに気づき、なんやろうと思いながら彼女の家に電話をかけました。
すると、彼女のお姉さんが電話に出てきました。
僕が名前を名乗ると、突然あわてた様子で「みぃが交通事故にあって今***病院に運ばれたみたい。今病院に向かうところ。連絡ついてよかった。」
「あとで連絡するからね。」と・・・
次にお姉さんと話をしたのは彼女の見送りを済ませた後でした。
僕は現実と夢の間でお姉さんの話を聞いていました。
お姉さんの話だと彼女は僕が先に社会に出たことで話が合わなくなって、そのうち他の女性を好きになるんじゃないかといつも心配していたそうです。

その日の夜、
(なんでもっと「好きや」といえなかったんやろ)
(なんでもっと会う時間をつくらへんかったんやろ)
(なんで彼女の不安にきづかなかったんやろ)
(なんで彼女のさみしさに気づかれへんかってんやろ)
(なんで、なんで、なんで、なんで・・・)
僕は本当に彼女のことが好きでした。
彼女の決まり文句に本気で応えるつもりでいました。
彼女がよく話していた「言霊」のことを思い出しました。
「言葉には、言霊が宿っているんだよ。だから、気持ちを込めた言葉を繰り返すと必ずそのようになるんやって!」
彼女の決まり文句は、彼女の願いだったのでしょう。
でも彼女の願いは叶わずに終わりました。
僕の心に大きな穴をぽっかり空けて、僕をおいて逝ってしまったんです。
僕は彼女の最後の彼氏になりました。
彼女は幸せだったのかな?
あれから10年。
僕の最後の彼女は彼女のままでした。
でも、僕は新たな道を歩みます。
天国のみぃへ・・・
本当に愛していました。
今もお前が横にいてくれたらよかったのに
さようなら。


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