ウチのオヤジはドが付くほど真面目で、世間に迷惑などカケる事なく生きて来た。 そんなオヤジは知り合いに騙され、友人に騙され多額の負債を背負う。 母は、そんなオヤジに愛想を尽かし、出て行き音信不通なる。 それでもオヤジは弱音を吐かず、ここまで頑張って家を守って来ましたが、それも叶わず とうとう我が家に赤紙が貼られた。 真面目だけが取り柄のオヤジが今まで頑張って来たモノは、簡単に崩れ去る。 そんな中、母が帰って来た。 僕もオヤジも一筋の光に助けられた気がした。 が・・・、それも束の間で母は父が生活費に除けてあった20万円を持っていなくなった。 僕とオヤジは、その日から途方に暮れる。 家も立ち退きを迫られ・・・残るお金は貯金箱に残る小銭だけで・・・ 当時、中学生の僕には、この先が考えられず・・・ 他人に騙される父をバカだと呆れてましたが・・・僕も母親に騙され、オヤジの気持ちが凄くわかった。 ハッキリ言って、僕は母を殺したい。 そんな気持ちだった。 僕は今もオヤジの心中を察する。 他人の借金を背負い込みながら、愚痴一つ言わず・・・そんな父を立派に思った。けどオヤジの言う 「騙すなら騙されろ」 には、賛同出来ず僕はどちらにも、なりたくない。それに僕は、母を許さず・・・恨む。
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