僕には両親がいない。 僕が知る限り親類もいない。 物心付いたときには施設に暮らす。 僕達ここに暮らす者は、選ぶ権利を持たない。 選ぶ権利を得る時は巣立ちの時だ。 僕は巣立ちを迎えましたが、今も職員として施設に残る。 昔も今も、施設に入所する子供達は、後をたちません。 大半は、片親の子が多いのが現状です。 僕の場合は両親の消息も・・・名字も名前も戸籍も持たず施設に。 僕の幼い頃はイジメの全盛期で・・・ 僕の入所中には3人の子が自殺しました。 僕も自殺を何度も何度も考えた。 今になれば、なんでもない一言でも・・・ 子供の時は耐え難い言葉がいっぱいあった。 「お前、家がないんか」とか、「お前は、いらん子」とか「貧乏」とか・・・ お金と親に関する言葉を投げつられる。 ・・・ ・・・ なぜ、僕はイジメられるの・・・? そんなに、親がいない事が悪いの? そんなに、お金がない事がいけないなの? 僕の場合、全く親の事がわからないので、当たる事も出来ません。 お金など・・・子供の僕にどうする事も・・・ 本当に死にたかった。 けど・・・死んでも僕には入る墓がありません。 僕には死ぬことも、許されない気になる。 だから、僕は普通に生きたい。 みんなと同じに・・・ 僕達は、施設に飼われる動物じゃない。
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