こんな時代にと笑う人もいるだろう。 でも、こんな時代だからこそ涙なくして語れない。これは僕が小5の時に転入してきたクラスメート(タケシ)の話だ。 タケシの父親は車による死亡事故を起こし、その責任を苦に自殺し・・・ 責任感の強がったタケシの母は、父が起こした死亡事故の賠償責任のため寝るを惜しんで働き・・・過労死する。 その後、タケシは妹と共に、僕が住む町にやって来た。 たけしの服はいつもボロボロで、頭はボサボサ、そんな風貌で・・・家庭環境もイジメには、持って来いだった。 僕はイジメる側には、いなかったが助ける事も出来なかった。 小学生のイジメは歯止めを知らず、どんどんエスカレートして行き、遂には5才の妹まで標的になる。 そんなイジメを無言で耐え続けていたタケシも・・・ 妹の「お兄ちゃん・・・、お兄ちゃん・・・」と泣き叫ぶ声に、限界を感じていた。次の瞬間、花壇に刺さる鉄の杭を引き抜くと、学年を仕切る達夫の目を目掛け突き刺す。狙いは少し外れるも、失明に追い込んだ。 この事件を気にタケシは少年院へ。妹は施設に預けられる。 僕も昨年、成人を迎え裁判官を目指しています。僕は法を学ぶ身で、法の矛盾さと、無謀さを身を持って知る。 ここで、これを読んだ人に問いたいタケシは間違っていたのでしょうか?
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