食べれる物など、あるはずがない。 そんな事、父もわかっていたと思うが・・・ 僕も反論はせず、水で空腹を抑える。 妹は、1才を過ぎても試供品のミルクを飲む事が多かった。 母が元気な頃は、屋根裏を走るネズミの音に、苛つく事もあったが、今ではネズミの足音も聞く事がない。 父は、母と妹の世話におわれる中、お金の工面にも走る。 母は、そんな父を心配している。 無理しないでね。私ならいつでも退院するから そんな母に、父は何の心配もいらないから、ゆっくり養生するよう、うながす。 父は、僕に何も言わないが見舞いに行くたび母さんから聞かされる。 ウチには貯金もないから・・・あなた達、ちゃんとご飯食べてる? お前には、苦労をかけるけど、母さんが戻るまで、父さんの言うことを聞き助けてあげてね・・・。 母は、かぼそく問う。 僕は、涙をこらえ母に答える。 心配いらないよ。 父さん言う事も、ちゃんと聞いてるし、幸恵の面倒も見てるから。 ご飯も毎日食べてるし、おかわりしてる。 僕は調子に乗って・・・ この前、フランス料理を食べた。 母は、嬉しそうに・・・ 「そう美味しかった?」 ・・・・・・ 今考えると、小学生のつく嘘など母さんは、お見通しで・・・ 母さんは、「嘘はいけませんよ」が口癖でしたが・・・
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