私の両親は、物心ついたときから別居していました。
はじめは、母と祖母がうまくいかずに、両親の仲は良いままの別居でしたが、ある日夫婦喧嘩をして、それきり会わなくなってしまった。幼稚園年長のことでした。 それからずっと、私と長男は父に、次男は母に預けられている 家が近いので母にはよく会えるので何も不満はなかった。 離婚の話は出ているけれど、まだ保留になっている。
先日、私の誕生日があった。 貧乏な家だから、豪華なご飯もプレゼントも求めず、自分で晩ご飯を作り、食べた。 完食してすぐに、父に焼き肉屋に行こう、と言われた 私は、もう食べちゃったよ、と断ったのに、父はどうしても連れて行きたいんだと懇願する。 あまりにも押すので、しぶしぶ承諾すると、父は長男にもお願いし、家族三人で行くことになった。
焼き肉屋につき、席に座り、5分ほど経ったとき 母と次男が来て、私は固まった 驚く、というよりは、焦った。 こんなところで鉢合わせして大丈夫なのだろうか、と。 「なんで?」と連呼する私の後ろから、父が「座れ座れ」と母と次男に諭す 父はメニューをみながら「誕生日、何もしてやれなかったから…」と苦笑した 私の左に父、右に母、左前に長男、右前に次男、と、家族が揃う 落ち着きを取り戻し、その光景を一回り見た後、心臓がかゆくなった 初めての感覚に焦っていると、不意に涙があふれ出し、そこでやっと気付いた。これが、嬉し泣きなんだって。
9年ぶりに、家族が揃った。 たった40分間 あれはきっと、夢じゃない。
後日、そのことを友人に話すと、まるで自分のことのように喜び、泣いてくれた。 家族も、友人も、大切にしなきゃと 心から思えた。
みんなが当たり前にしていることが 私には泣くほど幸せだった。
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